ちょっと気になることがあったので、調べてみた内容を記事にしてみました。
旅客機でモバイルバッテリーを運ぶ際の注意点など
リチウムイオン電池の輸送について
2016年2月22日、国際民間航空機関(ICAO)が旅客機でのリチウムイオン電池の輸送についての発表がありました。
オリジナルのソースはこちら。
ICAO Council Prohibits Lithium-Ion Cargo Shipments on Passenger Aircraft
日本語のニュース記事も載せておきますね。
うーん、ASCIIだけ推測が混じった記事になっていますね。
で、どういうこと?
ソースはそれほど長くないので、単語を調べながらでも読むのは大変じゃないかと思います。
要は、
- 4月1日からこのルールを適用するよ
- 旅客機の貨物室ではリチウムイオンバッテリーを運んじゃ駄目だよ
- 個人が使用する電子機器に搭載されているバッテリーを機内に持ち込むのは制限しないよ
- この件については引き続き広くレビューしていくよ
- 安心して空の旅をしてほしいから、この制限は航空機メーカーやパイロットが要望していたんだよ
という事が書かれています。
4月1日以降は、手荷物で持ち込むことが必須となります。
客室への持ち込みについては触れていない
このICAOのリリースでは、客室への持ち込みについての制限はありません。
しかし、客室への制限については、各航空会社が独自に客室への持ち込み制限を定めているので、それらに従う必要がありますので、注意が必要です。
各社の対応状況(国内)
ざっと検索してみたところ、それぞれのページが見つかりました。
JAL
ANA
スカイマーク
バニラエア:HPに記載なし
ピーチエア:
おおよそ、下記のように足並みが揃っているようです。
- ワット時定格100Wh以下なら無制限
- ワット時定格160Wh以下は2個まで
- ワット時定格160Wh以上は持ち込み禁止
いずれも、国土交通省のガイドラインに従っています。
で、「ワット時定格」ってどうやって計算するの?
というのが一番気になるところですね。
まずは計算式です。
定格容量(mAh) ÷ 1,000 × 定格電圧(V) = ワット時定格量(Wh)
という式で計算することが出来ます。
僕の持っているモバイルバッテリーは、Anker Astoro E5なので、これで計算してみましょう。
製品仕様にはこのように書いてあります。
製品の仕様
[容量] 16000mAh
[入力] 5V / 2A
[出力] 5V / 3A x 2 (合計最大3A)
[出力ポート数] USB x 2 (PowerIQ搭載)
[サイズ] 15.0 x 6.2 x 2.2cm
[重さ] 296g
ここから数字を当てはめてみると、
16000(mAh) ÷ 1000 × 5(V) = 80(Wh)
と計算してしまいがちですが、これは間違いです。
ワット時定格は、「バッテリーセルの電圧」で計算することになっています。
一般的に、リチウムイオンバッテリーは材料の特性によって出力電圧が3.7Vと決まっています。
モバイルバッテリーは、このリチウムイオンの「セル」を複数個組み合わせて、5Vや10V(ノートPC用など)などの出力電圧を作り出しています。
そのため、正しくは、
16000(mAh) ÷ 1000 × 3.7(V) = 59.2(Wh)
となります。余裕で100Whを下回っているので、無制限に持ち込むことができます(とは言っても容量的にこれ一つで十分ですが)。
Ankerではさらに大容量のPowerCore+ 26800(現行モデル)というのがあり、26800mAhの容量です。
この場合は、
26800(mAh) ÷ 1000 × 3.7(V) = 99.16(Wh)
となり、これも100Whの制限を下回ります。この26800mAhという中途半端な数字は、旅客機への持ち込みを考慮したちょうど良いサイズ、という事だったのですね。
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