今回読んだ本はこちら。
久しぶりに宇宙の本があったので、読んでみることにしました。
読書日記:「宇宙に外側はあるか」を読んで久しぶりに宇宙に思いを馳せた
ちょっとだけ前置き
高校生の頃は友達がいなかったので、毎日昼休みは図書館に籠もっていました。
その当時の愛読書はもちろん「ニュートン」です。
ニュートンに掲載されていた、最新の物理学や宇宙研究の話はとても興味深く読んでいました。
大学に進学する時に、物理学か機械工学科、どちらを専攻しようか悩んでいたものです。
結局、就職しやすさ、という理由で工学部を選んだ気がします。
本の内容は?
現在のところ、「宇宙に外側はあるか?」という問に対して明確な答えは見つかっていません。
「宇宙の構造はどうなっているのか?」
「宇宙はどのように誕生したのか?」
これまでに多くの物理学者がこれらの謎を解き明かすために様々な思考や実験、観測を続けてきました。
この本では古典的な天文学や物理学から、最新の量子論まで、どのように進歩、発展してきたかを分かりやすく(※1)紹介している本です。
※1:僕のようなニュートンをある程度かじった人間にとっては分かりやすかったです。サルでも分かるというレベルではないのであしからず。
宇宙を観測する=過去を調べる
巨大な鏡で出来ている望遠鏡や、パラボラアンテナを何個も並べた電波望遠鏡で何を見ているのでしょうか?
それはものすごく遠くから届く光や電磁波を観測するためです。
ものすごく遠くから届いている、ということはものすごく昔(何十億年も前)から送られてきている、ということです。
宇宙のあちこちにある遠くのものを観測することで、宇宙の大きさや年齢を計算することが出来るようになりました。
こうやって宇宙を観測し続けた結果、宇宙の年齢が138億年、というところまで分かってきました。
物質の元を調べる=宇宙の始まりに近づく
現在の理論では、宇宙が始まってから約1兆分の1秒後の状態まで説明することが出来るようになっています。
この時(約1兆分の1秒後)の宇宙は高温、高圧で、クォークや電子だけが存在する世界でした。
そこから時間が経つにつれて、クォーク同士が結びついて陽子や中性子が出来上がり、さらにそこから水素やヘリウムの原子ができあがりました。
と、ここまでは分かっていますが、クォークがどうやってできあがったのか、これがまだ分かっていないため、約1兆分の1秒より前の状態を理論的に説明することが出来ません。
その為、クォークの起源を調べる、ということは宇宙の始まり、1兆分の1秒より前に近づく、ということになります。
宇宙の全エネルギー量を計算すると、計算が合わない
ビッグバンの理論を元に、現在の宇宙にはどれくらいの元素が存在しているかを計算することが出来ます(※2)。
しかし、この計算では宇宙全体のエネルギー総量に全く合わないのです。
計算で求められた質量(が持つエネルギー)は、宇宙全体の4パーセント分(!)しかないそうです。
では残りの96パーセントのエネルギーはどこにあるのでしょう?
そこで登場するのが、「ダークマター」理論だそうです。
しかし、ダークマターのエネルギーを足し合わせても、まだ73パーセント足りないのです。
※2:できるんだそうです。すごいですね。この本では細かい計算式は出てきません。
それで、宇宙に外側はあるのか?
宇宙の理論は、観測技術と共に発展してきました。
多くの学者が考える、様々な理論は、観測によって裏付けられてきました。
「計算上、こうなっているはずだ」という理論が先に生まれて、そのあと宇宙を観測することで宇宙全体を満たす電磁波の存在や素粒子を発見することで、理論の正しさを証明してきました。
そのため、現在の技術では宇宙の外側を観測することが出来ない(※3)ため、宇宙の外側
現在の理論では、宇宙の外側がどうなっているかを決定付けることが出来ません。
この本ではいくつかの宇宙の仕組みについての理論を紹介していますが、いずれも現在の技術では正しさを証明することが出来ません。
※3:宇宙は電磁波の速度よりも速く膨張しているため、宇宙の端を観測することすら出来ない
勝手に採点表
- 本のボリューム:★★★★★
- 読みやすさ:★★★★☆
- 分かりやすさ:★★★★☆
- オススメ度:★★★★★
- ためになった度:★★★☆☆
ビジネス書ではないので、なにか生活に役に立つか、といわれると全く役に立ちませんが、宇宙すげえ!!というのはよく分かる本だと思います。
難しいことをざっくりと分かりやすく紹介している興味深い本でした。
感想
けっこうなボリュームなので、読むのに時間がかかってしまいましたが、久しぶりに高校時代にハマっていた宇宙の理論を思い出したり、最新事情を見ることが出来て、個人的な興味としてはとても楽しく読むことが出来ました。
ノーベル物理学賞をもらっている人たちの功績を理解する事も出来ました。
万人にお勧めできる本ではありませんが、小さい頃に百科事典が好きだったり、NHKスペシャルが好きだったり、ニュートンの愛読者だった人は楽しめる本かもしれません。
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